会 長 挨 拶

第35代会長 阿波野 昌幸 (近畿大学 教授)

 公益社団法人プレストレストコンクリート工学会は,1958年にプレストレスト
コンクリート技術協会として設立されて以来,わが国のプレストレストコンクリート
(PC)およびコンクリート構造に関する学術と技術の進歩,ならびに会員の資質
の向上と国際的な情報交流を図り,社会の安全と発展に貢献してきました。
 わが国は,昭和の時代に構築された多くのインフラ構造物の老朽化に直面し,
さらに,近年,大規模災害にも度々遭遇しており,そのインフラ施設の補修整備・
維持管理が喫緊の課題となっています。PC構造は,さまざまな優れた性能を有
することから,橋梁,建築,容器,防災施設,港湾構造物などのインフラ施設に
広く利用され,改築改修にも活用されています。PC技術による生産性・耐久性
向上が環境負荷低減に果たす役割も大きく,2017年には本工学会は「PCサステ
ナビリティ宣言」を公表しており,国際的な目標であるSDGsに対しても持続
可能な社会の構築に大いに貢献すると考えます。
 本工学会は,会誌の発行,各種技術規準の刊行,年次のPC技術講習会および
シンポジウムの開催,技術者資格認定事業,国際交流などの活動を行い,受託
研究や公募研究,特別研究にも積極的に取り組み,PC技術の普及と発展に努めて
います。さらに,国際機関であるfibに公益社団法人日本コンクリート工学会と
ともに日本を代表して参画し,重要な役割を担っています。
 本工学会認定資格である「プレストレストコンクリート技士」および「コンクリート
構造診断士」は,国土交通省より,コンクリート構造物の安全性の確保と長寿命化に
貢献する専門性の高い技術資格であると認められ,両資格者のますますの活躍が
期待されており,両資格の普及および有効活用推進に取り組んでいきます。
 昨年度以来,新型コロナウイルス感染の影響を受け,一部の事業が延期や開催
方法を見直しせざるを得ない状況となりましたが,今年度はさまざまな感染対策を施し
ながら活動を進めて参ります。わが国におけるPCおよびコンクリート構造分野の唯一の
専門技術者集団として,社会インフラの維持管理と整備に向けてさまざまな事業を
推進し,安全・安心かつ持続可能な社会の構築と発展のために貢献して参ります。
今後とも,ご支援,ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


(令和3年5月28日就任)