第29回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム
実行委員長ご挨拶
実行委員長 下村 匠

 2020年10月29日、30日に群馬県高崎市で開催が予定されていた第29回プレストレスト
コンクリートの発展に関するシンポジウムは,新型コロナウィルス(COVID-19)による
感染症の拡大防止のために,オンラインで行うこととなりました。2019年末から突如世界を
襲った感染症により,会合や移動に伴う人と人との接触を極力避けることが求められ,学校
や会社は急遽リモート化,同年開催されるはずであった東京オリンピック・パラリンピックも
延期されました。このように世の中全体が未曽有の災禍への苦渋の対応を余儀なくされる
中,開催準備中であったプレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウムも,例年の
ような大勢の参加者が一堂に会しての開催は難しくなりました。実行委員会にて検討の結果,
シンポジウムは中止や延期ではなく,オンライン形式に変更して開催することを決断しました。
 
 年に一度一か所に集まり論文発表や交流を行うことが主たる内容であったシンポジウムを
オンライン化したことで,参加者が激減するのではないかと懸念しましたが,シンポジウム
には例年と同レベルの169件の論文が投稿され,充実したシンポジウム論文集を刊行する
ことができました。熱心な参加者の皆様に厚く御礼申し上げます。しかしながら,人が集まる
ことを前提とした技術展示,見学会などいくつかの行事は断念せざるを得ませんでした。技術
展示に出展いただく予定であった団体の方々には深くお詫びを申し上げます。

 一方,オンライン化されたことで本来の開催地である群馬県高崎市に実際に人が集まる
ことはなくなってしまいました。例年,シンポジウム開催地では現地WGを設置し,地元自治
体,団体・企業の方々のご協力をいただきながら,参加者を迎える準備を整えます。オン
ライン化されたとはいえ,何か開催地にちなむことができないかと思っていたところ,特別
講演としてお願いしていた世界遺産富岡製糸場の富岡製糸場総合研究センター結城雅則
所長には予定通り「富岡製糸場の保存と整備〜世界遺産を守り、伝える〜」のオンライン
講演とご寄稿いただくことができ,群馬県立女子大学松浦利隆教授には「『電源群馬』群馬
県のダムと発電所」のオンライン講演をいただけることとなりました。これらは群馬県での
開催の証となる記念すべき講演となりました。

 初めての試みであったにも関わらず,無事開催までこぎつけることができたのは,ご支援を
賜りました地元高崎市をはじめとする団体・企業の方々,様々な難題も克服し準備を進めて
くれた実行委員会各位,プレストレストコンクリート工学会事務局の方々のご尽力によるもの
です。心より感謝申し上げます。
2020年10月吉日

公益社団法人プレストレストコンクリート工学会
第29回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム実行委員会
委員長 下 村  匠     
(長岡技術科学大学教授)